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 先日立ち寄った100円ショップは若者でにぎわっていた。手にする買い物かごからは食器や洗面器、掃除用品がのぞいている。この春、1人暮らしを始めた新入生たちだろうか。楽しそうに品定めしていた。

 新型コロナ禍で仕送りやアルバイト収入が減った学生にも頼りになる店だろう。しかも、しゃれたデザインや日常の小さな悩みを解決する便利グッズと、利用者の視点で工夫された商品が並ぶ。ワンコインと侮るなかれ、である。

 福岡では1999年から親しまれてきたワンコインが消える。福岡市や北九州市の中心部を走る西日本鉄道の「100円バス」だ。コロナ禍による業績悪化を受けて値上げに踏み切る。7月から150円になる。

 これまで2度の消費税増税時にも運賃は据え置いてきた。利便性を高めて利用客を増やすことで増収を図ってきたが、「将来の交通ネットワーク維持のため」に、かじを切らざるを得なかった。苦渋の決断だったに違いない。

 人口減少に伴って利用者数が低迷、運転手不足も深刻化し、各地の路線バスは経営が厳しくなっている。鹿児島市交通局も赤字経営立て直しのため、民間2事業者に約半数の路線を移譲し終えたばかりだ。

 通学や通勤、通院を支える「生活の足」が細らないよう、使い勝手のいいバスを目指して工夫を重ねていくことが必要だろう。市民の視点がそのヒントになる。