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 白血病を克服した競泳女子の池江璃花子選手の泳ぎは、女王の風格を取り戻したように見えた。日本選手権で4冠を達成して「自分を褒めてあげたい」と喜びを語った。病気判明から2年余りでの復活である。

 想像もつかないような過酷な闘病生活を送ったことだろう。「思ってたより数十倍、数百倍、数千倍しんどい」と胸中を吐露したことがある。抗がん剤治療のために、体重は一時15キロ以上落ちた。

 それでも持ち前の負けん気で前を向き、東京五輪2種目で代表入りを決めた。「ただいま、という気持ちでレースに入場した。すごくつらくて、しんどくても、努力は必ず報われる」。万感胸に迫る言葉は多くの人の心の琴線に触れたに違いない。

 この大会では、山口観弘(あきひろ)選手が現役生活に幕を下ろした。志布志高3年の時、国体に出場し、男子200メートル平泳ぎで世界新記録を樹立した。しかし大学進学後は故障などで結果を残せずに低迷し、東京五輪出場の望みも絶たれた。

 「順風満帆なジュニア時代と結果の出ないシニア時代、両方を経験できたのは良かった」と振り返る。最後も予選落ちし全盛期の輝きは再現できなかったが、可能性を信じて挑戦してきた競技人生に悔いはないだろう。

 共通するのは、あきらめずに努力を重ねる姿勢である。20歳のヒロインと26歳の往年のヒーローは、次の世代に希望と勇気の光をともした。