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 「どうして直接会えないの?」。繰り返し聞かれて答えに詰まった。介護施設にいる老親と、初めてパソコンの画面を通して面会したときのことだ。こちらが施設のロビーにいると知り、もどかしく感じたようだ。

 新型コロナウイルスの国内感染が始まって1年以上になる。病院や施設で患者が発生すれば大規模に広がりかねない。面会の制限は仕方あるまい。それでも家族に直接会えない寂しさを募らせている人は多いことだろう。

 希望の光になっているのがワクチンだ。医療従事者に続く形で高齢者への接種が全国でスタートした。大型連休後に本格化するという。来月10日の週から鹿児島県には約24万6000回分が届く。

 鹿児島市では75歳以上の市民にワクチンの接種券と予診票が配布された。ただ、届いた書類だけでは、いつから、どうすれば打てるのかよく分からない。保健所に問い合わせが殺到したのは市民の困惑の表れだ。

 市は11日から専用のインターネットサイトやコールセンターで予約を受け付けるというがスムーズに進むか心配される。1人暮らしで不安を抱える人もいよう。希望する人がもれなく接種できるような支援が欠かせない。

 ワクチン接種が進み、患者数が減ってきたという海外の報道をうらやましく眺める。「あと少し。もうすぐ直接会えるから」。相変わらずの画面越しの面会で自分にも言い聞かせる。