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 ホームマウンテン、という言葉があるらしい。身近で愛着を感じる山を指す。霧島市民にとって、それが霧島山であることは間違いないと推測する。

 暮らし始めて3年目。高千穂峰や韓国岳に何度か登り、季節の移り変わりを見てきた。先週末の甑岳は初めてだった。アカマツ林を抜けていく道が新鮮で、まだまだ知らない世界があると分かり、うれしかった。

 円すいの上部を切り取ったような山頂に、直径約500メートルの浅い火口湿原が広がる。道しるべに沿って下りてみた。ススキが風に揺れ、絵筆の先からぽたり、ぽたり、しずくを垂らしたかに見える愛らしい花が咲いていた。

 薄青いハルリンドウに、つやつや輝く黄色のツルキジムシロ。持参した霧島の花ガイドが役立った。さらに進むと、まるで砂漠のオアシスのように池が出現した。貴重な動植物を育んでいる場所だという。

 えびのエコミュージアムセンターでは夏山開きのシーズンに合わせ、えびの高原を起点にする五つの登山道の特徴を紹介している。韓国岳、大浪池、白鳥山、えびの岳、そして甑岳。それぞれの見どころを、写真などで堪能できる。

 先週の山歩きの道すがらには、控えめな黄色で辺りを染めるキリシマミズキやシロモジ、白くあでやかなオオカメノキに出合った。膨らんだつぼみの先に、深紅がちょっとのぞくミヤマキリシマも。初夏は、すぐそこだ。