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 「孤独のグルメ」という人気ドラマがある。松重豊さんの演じる雑貨商・井之頭五郎が、仕事で訪れた街で食堂に立ち寄り、独りで料理を味わうというストーリーだ。

 下戸の彼はひたすら食べる。その健啖(けんたん)ぶりが見ていて心地いい。宮城県女川町で海鮮丼を注文する場面では、地元のごちそうを平らげた後のせりふがまたいい。「地の物を食べられる喜び。かけがえのないおいしさが俺の心と体にみなぎっている」。

 料理に季節感がなくなって久しいが、やはり旬で新鮮な味わいにはかなわない。阿久根市のうに丼祭りに足を運び五郎の言葉をかみしめた。近海産の生うにに、わさびじょうゆを垂らして頬張る。口に広がる磯の香りは満足のひと言である。

 ウニと言えば北国のイメージが強いが、阿久根の沿岸もムラサキウニが多く、昔から漁が盛んだ。とりわけ藻場がよく茂る今の時季は栄養豊富でうま味を増す。特産をPRしようと14年前に始めた祭りは、春の風物に育った感がある。

 昨年はコロナ禍で中止したため、2年ぶりの開催となった。12店舗が3300円でそれぞれ工夫を凝らした丼を出す。西洋風あり、韓国風ありの内容に料理人たちの意気込みを感じる。

 業界のガイドラインに沿って感染対策にも気を配っていた。外出をためらう大型連休の選択肢にいかが。市観光サイトに各店の電話番号がある。予約はお忘れなく。