( 5/7 付 )

 このところ、朝の一杯はまず水出し緑茶と決めている。急須に茶葉と冷水を入れ、15分ほど待ってガラスのコップへ注ぐ。すっきりとした甘みが食道から胃へしみわたる。

 続いて、ぬるま湯で2煎目、熱湯で3煎目と味わいを楽しむ。今度は湯飲みで。お茶の研究者が勧める方法を一度試して以来、3回の「味変(あじへん)」がぜいたくに感じられ、習慣になった。それぞれの温度で抽出成分も変わるらしい。

 最近の緑茶研究は、さまざまな効能を科学的に裏付ける。南九州市知覧の生産組合が挑むのが「GABA(ギャバ)緑茶」だ。アミノ酸の一種であるGABAはストレス緩和に効くとされる。生葉の扱いを従来と変えることで、含有量を高めた茶の製造につなげた。

 2019年の茶産出額で鹿児島県は静岡県を抜き、初めてトップに立った。だが肝心の消費が振るわなければ喜べない。チョコレート商品でおなじみのGABAを前面に出す戦略が、新型コロナ下で健康に関心が集まる流れに乗ればいい。

 先月、県内のもう一つの茶どころ、霧島市溝辺の農家の茶工場を訪ね、新茶を予約した。「毎朝4時に畑に出ます。そうしないと茶葉の成長に追いつかない」との話に、現場の苦労が見えた。

 茶摘みが本格化する八十八夜を過ぎ、新茶が出回る季節になると、茶産地に生まれた幸せを思う。茶畑の緑を浮かべながら、朝の一杯を口に含む。