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 郊外で高い空を舞うトビを目にすることがある。そこから見えるのは、今の時季なら満々と水をたたえて空を映す田んぼだろうか。整然と並んだ茶畑の美しい緑の濃淡だろうか。

 物事を的確に分析するには、「鳥の目」と「虫の目」が必要と聞く。空から見渡すように広い範囲の情報を取り込む一方で、足元のわずかな現象も見逃さず、掘り下げて考える。両方の視点が欠かせないというわけだ。

 経済の世界では、これに「魚の目」が加わるそうだ。潮の流れの変化、つまり時流を感じ取る能力である。国際経済学者の伊藤元重さんは先輩から「これが一番大事」と教えられたと、著書「経済を見る3つの目」にある。

 過去のいきさつを意識して今を捉えれば、将来を見通す手がかりが見えてくる。経済に限らず、あらゆる分野に通じる考え方の秘訣(ひけつ)かもしれない。ただ、実生活では虫や魚以上に、鳥の目が求められる場面が多いように感じる。

 例えば、新型コロナウイルスに翻弄(ほんろう)される今である。「第4波」が本格化し、状況は日に日に厳しくなっている。出口の見えない窮屈さに疲れてうつむきがちになったとき、鳥の視点を想像してみてはどうだろう。

 野山に初夏が訪れ、アマサギやツバメの姿も見かける。難しいことはひとまず置いて、鳥の目になってみよう。空からの景色を思い浮かべるだけで心は軽くなる。来週は愛鳥週間。