( 5/12 付 )

 夕方になると鹿児島市の鹿児島新港は活気づく。奄美・沖縄航路のフェリーが出港するからである。試合帰りらしいジャージー姿の高校生グループや、出張だろうか作業着姿の男性がいる。

 フェリーは毎日行き来し、食品などの生活物資も運ぶ。奄美群島の人たちには欠かせない。名瀬港までは寝転がって11時間ほど。その先はさまざまな景色が迎えてくれる。

 奄美大島をしばらく望んだ後は、どっしり構えた徳之島に寄り、平らな沖永良部島、小ぶりな与論島と続いて、沖縄本島の脇を南下する。海はエメラルド色に輝き、朝夕の陽光に恵まれれば空はオレンジ色に染まる。

 「奄美・沖縄」が世界自然遺産に決まる見通しとなった。同じ名を持つ航路は、世界遺産の島々を巡る旅を提供するルートになった。屈指の観光コースと言っていい。登録を見据え一部の便は3年前から、既に世界遺産となっている屋久島にも寄港している。周遊を楽しんでもらえそうだ。

 南に連なる島々は自然に加え、民俗文化や食にも富み、海の道には魅力があふれる。これからが知恵の出しどころだ。コロナ禍の前には年1000万人の観光客が訪れていた沖縄県との連携があってもいい。

 コロナが収まれば、船旅を好む世界中の人々が乗り込むことだろう。夕刻の鹿児島新港の風景は一層にぎわうはずである。生かさない手はない。受け入れの準備を急ごう。