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 新国立競技場に聖火はともるのか。東京五輪の開会式が2カ月余り後に迫ってもコロナ禍を理由に中止を求める声が多く、その情景は依然として霧の中にある。

 主役であるアスリートたちはどう思っているのか。マラソンの一山麻緒選手は「出る側としては複雑な気持ち」と戸惑う。体操の内村航平選手は「選手で決められることじゃない」と、開催を信じて練習に打ち込む。

 テニスの錦織圭選手は「究極的には一人も感染者が出ない時にやるべきだ」と安全こそ最優先と考える。陸上長距離の新谷仁美選手も「選手だけが何かをやりたいと言うだけではただのわがまま」。晴れの舞台に立ちたい気持ちを懸命に押し殺しているように聞こえた。

 パラリンピックも開幕まで100日を切った。走り幅跳びの中西麻耶選手は「(国民に)迷惑をかけたくない、と思っているのはアスリート自身だと感じている」と胸中を明かした。

 障害者アスリートが大観衆の声援を浴びる、ほぼ唯一の機会だろう。だが、若手選手が「国民の皆さまを勇気付けたい」と発言したところ、「何様ですか?」「無神経だ」といった批判がネット上に書き込まれたという。

 チャレンジする姿を見てもらいたいと、発信することすらタブーになりつつあるのか。選手の心中を察すれば聖火がともるよう願いたいが、ワクチン接種が遅れている現状が何とも恨めしい。