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 1年も折り返しの7月である。この時季に正月の初詣になぞらえ、「夏詣(なつもうで)」を新たな習慣にという動きが広がっている。半年間の無事を感謝し残る半年の平穏祈願をと、7年前に東京の浅草神社が始めた。

 もともと各地の神社は6月30日に「夏越(なごし)の大祓(おおはらえ)」の神事を行い、大みそかと並ぶ大事な節目としてきた。これに合わせ、ちょうちんを飾ったり催しを開いたりして参拝を促す。地域の新たな風物詩にしようと取り組む所もある。

 鹿児島市の照国神社も今年初めて企画した。今月末まで看板やのぼり旗を掲げ、いつもより大きな七夕飾りで雰囲気を盛り上げる。悪疫退散を祈る「茅(ち)の輪」は設置期間を延ばし、六月灯などの祭事には特別な御朱印も用意した。

 ただ、新型コロナウイルス感染症はまだ収束の兆しが見えない。昨年に続いて夏祭りなどの規模縮小が求められている。同神社でも灯籠は飾るものの、露店や華やかなイベントはなく、静かな六月灯となりそうだ。

 神社や寺、町内会ごとに1カ月余りにわたって祭事を繰り広げるのは、南九州独特の風習である。人馬の病気や、田んぼの害虫が発生しやすい旧暦6月、夜通し灯明をともして集落の神を拝んだのが始まりともいわれる。

 にぎやかさよりも静かに祈るのが本来の形なのかもしれない。何かと自粛を迫られ、不満が募る夏の宵、そぞろ歩きで自らに向き合うのもいい。