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 ここは海抜10メートル-。こんな表示板が現れたのは東日本大震災の後である。津波からの避難に役立てようと各地に設けられたが、これを豪雨災害に備えるためのヒントにした地域がある。

 岡山県倉敷市真備(まび)町の鉄道高架や校舎壁面には、ひときわ目立つオレンジ色のラインが引かれている。地上約5メートル。川の堤防と同じ高さで、深く浸水した過去の水害を伝える。間もなく丸3年がたつ西日本豪雨の日には既にあった。

 「当時は見向きもされませんでした」。まちづくり団体事務局長の守屋美雪さんは振り返る。ボランティアに訪れた東北で地元の危機意識の薄さに思いが至り、オレンジラインを発案したという。柔軟な発想のたまものだったが、生かされなかった。

 3年前は大勢の住民が逃げ遅れ、51人が亡くなった。堤防決壊であふれた水はオレンジライン近くに達し、2階の屋根で救助を待った人も多い。早めの避難を阻んだのは「ここまで水が来るはずはない」との思い込みだろう。

 現在、川の合流部を付け替える難工事が進む傍ら、被害を忘れないよう家々の外壁に水深を示すテープが張ってある。「身の回りでどんな災害が起きるか知らなければ適切な避難はできません」。守屋さんは力を込める。

 近年、豪雨に伴う大規模災害が7月上旬に相次いでいる。各地で起こる災害の教訓を人ごとにせず、命を守る行動につなげたい。