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 福岡に夏の訪れを告げる博多祇園山笠が始まった。繁華街を中心に12基の豪華な飾り山がお目見えした。街を疾走する「舁(かき)山」は昨年に続き実施を見合わせたが、2年ぶりの公開で市民に笑顔が戻った。

 高さ10メートルの飾り山は博多人形師が手掛ける。神事が行われる櫛田神社に向いた「表」と反対側の「見送り」の2面に、伝統の技を凝らした躍動感あふれる世界が広がる。武者物からアニメキャラクターと多彩な題材も楽しい。

 中洲に近い上川端商店街には雲に乗る風神雷神が登場した。風神が右の下まぶたを引き、後ろから声を掛ける雷神に「あっかんべー」をしている。愛嬌(あいきょう)たっぷりの表情が笑いを誘う。

 モチーフは櫛田神社の拝殿に掛けられている木彫りだ。「暴風雨を起こして騒がせよう」と誘う雷神に、人々を思う風神が断る様子という。博多っ子のユーモアあふれる気質とともに、災害のない世への願いが伝わる。

 熊本豪雨からきょうで1年になる。氾濫した球磨川にのみ込まれた街の姿が目に焼き付いている。今も3700人近くが仮設住宅などで暮らし、JR肥薩線も八代-吉松間で復旧の見通しは立っていない。

 梅雨末期の大雨で毎年のように災害が起きている。先週は豪雨の原因となる線状降水帯が沖縄などで発生し、気象庁が速報を出した。風神に「あっかんべー」をお願いしようか。もちろん備えは怠らずに。