( 7/10 付 )

 リスは大きく二つに分かれる。地面で暮らすジリス類と主に樹上で活動するキリス類である。キリスは秋の間、せっせと集めたドングリを森のあちこちに埋めて冬に備える。

 落ち葉をかぶせて穴を隠すのだが、たまにその場所を忘れてしまう。後ろ足で立ってきょとんとした表情の写真を見たことがある。思い出そうと頭をフル回転している姿なのかもしれない。

 鹿屋市で先日、原発から出る高レベル放射性廃棄物の最終処分に関する経済産業省などの説明会があった。核のごみを地中深く埋める地層処分の必要性と安全性が強調された。

 理解促進のため全国を巡回しているのだという。だが、大隅半島を候補地として狙っているのではないかと勘繰る参加者もいた。無理もあるまい。南大隅町では15年ほど前から誘致の動きがあり、4月の町長選でも争点に浮上したばかりだ。

 参加者の1人は「あなたたちは来るのが遅すぎた」と主催者側に語りかけた。地元を二分する混乱と疑心暗鬼が生まれた後で説明を聞いても、冷静に理解などできないというわけだ。こうしている間にも、廃棄物は増え続けている。

 リスが思い出せなかったドングリの中にはそのまま発芽するものがある。リスのうっかりは森の成長に一役買っている。無駄のない自然の摂理に感嘆するばかりだ。自ら生みだした危険なごみを持て余す人間の無責任さが際立つ。