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 米東部で17年置きに大発生する謎のセミは“当たり年”の今年、5月ごろから現れ、既に数十億匹とも数兆匹ともされる。鳴き声を想像するだけでもうんざりだが、現地では「セミ食」を盛り上げる動きが起きた。

 特別な趣味と言うなかれ、評判は上々のようだ。ナッツ風味だとかエビのような高級感だとか、ネット上にはさまざまな感想が並ぶ。すしネタにしたいという料理人までいる。

 自分にもまさかこんなに早く、セミの素揚げを食べる機会が来るとは思わなかった。霧島市国分に登場した昆虫食自販機の商品を試してみた。味付けの黒コショウが効いて、歯触りはさくさくしている。他にコオロギやバッタもあった。

 国連食糧農業機関(FAO)は、人口増による食糧危機に備える手段の一つに、昆虫食を挙げるようになった。従来型の畜産と比べ、少ない水や餌で生産でき、環境負荷が抑えられる持続可能なタンパク源と評価している。

 国分に自販機を置いたのは、地場産ダチョウ肉の直売店だ。ダチョウは10日間食べない状況下でも生き延びられるという。「食糧難時代にダチョウも昆虫食も貢献できる」。店主の目は、未来を向いていた。

 日本には昔から蜂の子やイナゴを食べる文化があった。「未来の食材」としての商品開発は東南アジアや欧米に後れを取るが、もはやムシはできない。ものは試し。味見の価値はある。