( 7/20 付 )

 ピアニストのフジコ・ヘミングさんは1946年、青山学院高等女学部の2年生だった。「すぐに答えを出せ」という日本の教育のやり方が苦手で、授業ではうまく答えられなかった。

 「私はバカじゃない。絵も文章も書ける」。それを見せたくて夏休みの宿題でもないのに絵日記を描いた。著書「フジコ・ヘミング14歳の夏休み絵日記」にはピアノの練習やプールに行った思い出が水彩画とともにつづられている。

 あすから鹿児島県内の公立小中学校は夏休みに入る。宿題の定番といえば各教科のプリントや冊子だろうが、一部の学校は宿題をペーパーレス化するという。

 児童生徒に1人1台のデジタル端末を配備する「GIGAスクール構想」の一環だ。鉛筆と消しゴムを手にプリントと格闘した世代には隔世の感がある。

 デジタル活用は視力悪化の恐れや基礎学力の定着に問題がないか心配する向きもある。だが、端末を使うことでやる気が湧く効果も期待できるだろう。8月下旬にたまった課題を慌てて片付ける苦い経験も味わわずに済むかもしれない。

 フジコさんは幸せについて「自分がゆるされる限り、もらった限りの範囲で、自分でつくるしかない」と記す。まだ端末を持ち帰れる学校は多くはなさそうだ。夏休みは自分のやりたいことに挑戦できる絶好の機会である。手元に端末はなくても自ら楽しい思い出はつくれる。