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 学生のころ、何度か化石掘りをしたことがある。平たがねの刃先を堆積岩にある地層の境目に合わせ、ハンマーでたたく。中から葉っぱや小魚の化石が出てくると、宝物を見つけたようなうれしさがあった。

 先月、熊本県天草市で草食恐竜の化石を発見したという記事を読んだ。天草の化石は約7200万年前の地層から見つかったという。葉っぱの化石でロマンを感じたのだから恐竜と出合った感慨はいかばかりだったろう。

 同じ時代の地層がある甑島の薩摩川内市鹿島支所で、夏休みの企画展「地球の歴史の調べ方」が始まった。甑島では近年、7000万年から8000万年前の恐竜や海生のワニ類などの化石が、相次いで見つかっている。発見に至る調査の様子がよく分かる展示会だ。

 甑島は、切り立った雄大な海岸線が多い。甑大橋が完成したとはいえ、調査は瀬渡し船で渡らないとたどり着けない場所も多いと聞く。研究をコツコツと続け、ようやく地球の生い立ちが見えてくるのだろう。

 今回は同じく船を使った調査が多い南極の様子も展示に加えた。サイエンスデザイナーの笹岡美穂さんが墨で描き、10メートルの絵巻物に仕立てた作品はユニークだ。

 コロナ下は、県内の魅力を再発見する好機である。薩摩川内市がひねり出した甑島の売り文句は「8000万年前まで50分」。高速船の乗船時間をかけた粋なコピーが旅心をくすぐる。