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 辛口コラムで鳴らした故ナンシー関さんは、スポーツに熱狂する風潮を「感動させてくれ病」と呼んで批判した。「感動をありがとう」といった決まり文句で無理やり盛り上げていると。四半世紀前のアトランタ五輪でのことだ。

 東京五輪は開幕して1週間になる。新型コロナウイルスによる危機の中、ほとんどを無観客にしてまで開く意味があるのか。もやもやは消えないが選手の躍動する姿を見れば、やはり心が動く。

 13年ぶりに五輪競技に戻ったソフトボールでは上野由岐子投手の変わらぬ雄姿に見ほれ、郷土出身の川畑瞳選手の出番に手に汗握った。連覇の金メダルは後輩らの励みになろう。心から祝福したい。

 新競技のスケートボードは若さが際立つ。女子ストリートを制した西矢椛(もみじ)選手は13歳、銅メダルの中山楓奈(ふうな)選手は16歳。今の若者かたぎか、競技中に緊張する様子もなく好きな音楽の話に興じる姿はほほ笑ましく頼もしい。

 気になるのはコロナ禍の五輪への影響だ。菅義偉首相は「心配ない」と強弁したが、東京では4度目の緊急事態宣言にもかかわらず新規感染者が増え続け、過去最多を更新した。全国に広がりつつあるのは不気味である。

 自粛を求められる生活が長引く中、五輪の祝祭ムードで気が緩んではいないか。だが、そんな空気を生んだのは無理やり開催したからだろう。「心配ない」で片付けられない。