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 宇宙科学研究所が開発したS520ロケットには「電柱ロケット」の愛称がある。全長9.6メートル、直径0.52メートルのサイズ感は、確かにちょっと大きめの電柱といったところだ。

 その31号機が先日、肝付町の内之浦宇宙空間観測所から打ち上げられた。コンパクトとはいえ、光の尾を引いてごう音とともに空を駆け上がる姿の力強さに見とれた。高度110キロの宇宙空間で新型エンジンの性能をテストした。

 宇宙は今、特別な訓練を受けた飛行士だけのものではなくなりつつある。米国の民間企業2社が今月、相次いで有人宇宙飛行を成功させた。搭乗した計10人には、両社の創業者や関係者のほか搭乗券を購入した乗客も含まれる。

 いずれも数分間とはいえ無重力を体験した。問題は料金だ。両社とも正確な額を公表していないが、1人数千万円とも数十億円とも伝わる。いずれにしろ現時点では限られた富裕層向けの商売でしかない。

 それでも日本を含む世界中から予約が入っているらしい。飛行の回数が増え、機体の再使用を重ねれば価格破壊も期待できる。観光旅行の行き先の選択肢に宇宙が加わる日は遠くないのかもしれない。

 今回の電柱ロケットの試験データを記録したカプセルは計画通り太平洋に落下し、回収された。宇宙旅行と比べるといかにも地味だが、こんな地道な研究の積み重ねが宇宙大航海時代を支える礎になる。