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 フランスのルーブル美術館はこの春、所蔵する全作品の画像や制作に関するデータを無料で公開するウェブサイトを設けた。コロナ禍で自宅にいながら名作に触れられるのは美術ファンにとって朗報だろう。

 現地でレオナルド・ダビンチの名画「モナリザ」に見入ったことがある。所蔵作品のウェブ公開は世界的な流れだが、画家が精魂込めた筆致や絵の具の質感をじかに鑑賞した感動は忘れられない。

 鹿児島市立美術館でフランス近代絵画の秀作を集めた「スイス プチ・パレ美術館展」が開かれている。鹿児島で初めてとなる本格的な主要作品展には38人の油彩画65点が並ぶ。

 先日の日曜日、有料の音声ガイドの解説を頼りに巡った。ルノワールが伸びやかに描いた女性像は存在感を放つ。晩年は持病のリウマチが悪化し、絵筆を手に縛り付けたという逸話からは並々ならぬ情熱がうかがえた。

 軍人でありながら画壇でも活躍したデュボワ・ピエの「冬の風景」は点描法を取り入れ、雪の色調の変化に圧倒される。第1次世界大戦の影響で鮮やかな色彩を捨てたヴラマンクの風景画は暗く苦悩に満ち、心に重く残る。

 館内では中学生同士が小声で意見を交わし、鑑賞リポートをまとめていた。画家の生きざまや時代背景に思いをはせれば、作品の奥深さに気付くだろう。お気に入りの一点との出合いを求めて足を運んでみてはいかが。