( 8/8 付 )

 最高気温が30度を超える真夏日が続く。うんざりするような夏の暑さを表す言葉の一つに「溽暑(じょくしょ)」がある。湿度の高い日本特有のじめじめした不快な蒸し暑さを指す。

 「油照り」という表現もある。こちらは風のない薄曇りの日、じっとしているだけで汗がにじみ出る暑さである。きょう最終日を迎える東京五輪の選手たちを苦しめたのは溽暑だったか、油照りだったか。

 鍛え上げられたアスリートですら弱音を吐く酷暑のなか、鹿児島県内各地の焼酎蔵で今年の仕込みが始まっている。薩摩川内市の山元酒造は、今月初めから米麴(こうじ)と水に酵母菌を加えてもろみを造る1次仕込みに取り組んでいる。

 試し掘りしたサツマイモは色つやも大きさも納得できる育ち具合だったという。異例の早さで梅雨入りしたが、日照時間が比較的長かったのがよかったようだ。もうすぐ農家から一番掘りの芋が届き、蔵に芋焼酎の香りが漂い始める。

 仕込みは自然との共同作業である。猛暑でかめの中は適温に保たれているのか。病気にやられた芋はないか。職人たちは連日、夜明け前から五感を使って焼酎を見守り、育てていく。

 「麴」の漢字の中にある米の「八・八」にちなんで、きょうは「こうじの日」だ。焼酎造りに欠かせないこの菌との付き合い方が職人の腕の見せどころの一つ。溽暑から残暑を経て秋が深まるころ、待ち望んだ新酒が出回る。