( 8/10 付 )

 こんもりと葉を茂らせた木が近所の公園にある。葉の少ない所が3カ所あり、それが人の顔に見えることに先日気付いた。水平に並んだ二つの丸の下に横長のくぼみがある。

 光の当たり具合では、口角を上げた笑顔のようだ。天井の染みや壁の木目が顔に見えた経験は誰しもあろう。心理作用の一種でパレイドリア現象と呼ばれるそうだ。

 赤ちゃんは生後数カ月のころから目や口の配置で親を識別し、表情の変化から人の感情を学習していくという。意思疎通の原点といっていいだろう。そこで気になるのが、新型コロナの感染が拡大した昨年春から続くマスク生活である。

 子どもの発育に支障はないのだろうか。例えば、養育を放棄された子は親の多様な表情に触れる機会が少ない。すると表情を見分けて感情を認識する力が育たず、コミュニケーション能力が未発達になるとの研究もある(山口真美著「赤ちゃんは顔をよむ」)。

 そんな心配から、鹿児島県内では保育教諭らがあえてマスクを着けずに子どもと接する施設もある。口元をしっかり見せ、表情の動きから喜怒哀楽を伝える意義を重視しているからだ。

 とはいえ、マスクは当分手放せそうにない。目は口ほどに物を言うともいう。相手が子どもでも大人でも目に気持ちを込め、時には身ぶり手ぶりも交えながら感情を伝える。これもコロナ下の日常の心がけかもしれない。