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 写真家で文筆家の木口マリさんは2013年、38歳でがんを告知された。治療の合併症でさらに腸閉塞(へいそく)を併発し、麻酔から目覚めて間もなく、医師から「人工肛門にしました」と告げられる。

 一瞬にして全ての「人生の可能性の扉」が閉ざされたような心境に一時陥ったという。「心がプツンとシャットダウンしてしまった」。本紙で連載した「がんになった私が見つけた12のこと」にある。

 日本オストミー協会鹿児島県支部によれば、ストーマ(人工肛門や人工ぼうこう)を利用しているオストメイトは、県内で約3000人に上る。心が折れることがあるだけでなく、日常生活を過ごす上で悩みは尽きないという。

 排せつのタイミングは調整できないため、トイレの使用頻度が高くなりがちだ。食事はバランスよく取らなければならない。体を圧迫する服は着られず、ストーマに装着する袋状の装具で皮膚がかぶれることもある。偏見を恐れ、隠すケースも少なくないと聞く。

 支部会員は80人程度で平均年齢も70代と高齢者が多い。一人で苦しさを抱え込んでいる人はいないだろうか。若い世代で悩みを打ち明けたり、情報交換したりする機会を増やすことが欠かせない。

 「私が病気の経験で見つけたのは、人のぬくもりが力になること」。木口さんは実感を込める。病気やストーマへの理解が深まれば支え合いの輪が広がるに違いない。