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 138億年前、宇宙が生まれるきっかけになった大爆発を「ビッグバン」という。福岡市中心部の天神地区で、その名を冠した市の再開発事業が進んでいる。街の至る所で工事に出くわす。

 国家戦略特区による高さ制限緩和や市独自の支援策により、老朽化したビルの建て替えを促す。アジアの拠点都市を目指して、すでに35棟が完成した。期限の2024年末の街は大きく変わりそうだ。

 情報発信ビルとして親しまれた14階建ての「イムズ」も姿を消す。有田焼の金色のタイルが覆う外観や巨大な吹き抜け、ギャラリーやホールまでも備えた斬新なスタイルで鹿児島をはじめ九州一円の若者を引きつけた。あす32年の歴史に幕を下ろす。

 「他にはない店やショールームが集まるオンリーワンのビルだった」と惜しむのは、鹿児島大学の鯵坂徹教授だ。三菱地所入社4年目で設計に参加した。「前例のない構想と構造で全てが手探りだった」と振り返る。

 「イムズはおわる。イズムはつづく」。閉館を惜しんで訪れる人々を最後のキャッチコピーが迎える。イズム(主義)を持ち、文化をつくってきたという強い自負を感じた。

 鹿児島市街地の再開発も佳境に入った。県内一の高さを誇る鹿児島中央タワーが開業し、天文館の旧タカプラ一帯のビルも全容が見えてきた。どんな魅力で輝くのか。新しい“宇宙”の誕生を楽しみに待ちたい。