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 コンビニで黄色や緑の値引きシールをよく見掛けるようになった。貼られているのは消費期限が迫った弁当や総菜だ。食品ロスを減らす動きが進んでいるのは喜ばしい。

 たかが数十円と笑うなかれ。作りたてを食べたい気持ちをぐっと抑えて値引き品を選べば、環境にも財布にも優しい。道徳的という意味の「エシカル消費」と呼ばれる。陳列棚の手前にある期限が近い商品から順に取る「てまえどり」も広まってきた。

 こんな積み重ねがむなしくなる事態が東京五輪で起きていた。ボランティアやスタッフ向けの弁当など約13万食が廃棄された。無観客になって予測が難しかった面もあろうが、発注の25%にも上るのは異常だ。

 食品だけでなく、医務室のマスクや手袋など約500万円分の廃棄も判明した。大会組織委員会は「保管場所がなかった」と弁明するが、コロナ下でこれらを必要とする施設は多い。譲渡先を探さなかっただけだろう。

 「資源を一切ムダにしない」との目標まで捨ててしまったのか。一般企業ではあり得ない無駄遣いの裏に、責任の所在があいまいな寄り合い所帯のひずみがのぞく。少しでも予算を切り詰めようとの意識は感じられない。

 きのう幕を閉じた東京パラリンピックも人間の持つ無限の可能性とスポーツの面白さを教えてくれた。祭典の舞台裏で非道徳的な行為が繰り返されていたのが悔やまれる。