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 故土井たか子さんは35年前のきょう、当時の社会党委員長に就任した。主要政党で初の女性党首は「おたかさん」の愛称で親しまれ、「マドンナ旋風」を巻き起こした。

 就任3年後の参院選では与党を過半数割れに追い込み、「山が動いた」との名文句を残した。「やるっきゃない」「駄目なものは駄目」。そんな歯切れの良さも国民を引きつけた。

 小気味いい演説と言えば、小泉純一郎元首相もその一人。2001年の自民党総裁選は地方で圧倒的な支持を得て、予想を覆し最大派閥所属の候補らを破った。「自民党をぶっ壊す」という声高な訴えが政治不信の高まっていた国民に響いた結果だった。

 菅義偉首相が総裁選への不出馬を表明して永田町がにわかに騒々しくなってきた。複数が名乗りを上げるとみられるが、衆院選の「顔」となるだけに、各派閥は思案投げ首といったところだろうか。

 総裁選で投票できるのは国会議員と全国の党員・党友に限られるとはいえ、事実上の首相選びである。主要派閥がまとまって推す候補が選ばれる可能性はあるものの、世論の大きなうねりが生まれれば流れも変わる。

 土井さんの歯切れの良さは「憲法と結婚した」という本人の弁が物語るように、護憲の旗を揚げ続ける信念に裏打ちされていたのではないか。コロナ禍をはじめ多難な時代である。山を動かすリーダーの登場が待望される。