( 9/12 付 )

 終着駅と聞いて、どんなイメージが浮かぶだろう。「落ち葉の舞い散る」で始まる奥村チヨさんの歌には最果ての哀愁が漂う。一方、俳人の西村和子さんの句<鰯雲終着駅は起点なる>は旅情をかき立てる。

 九州に来年秋、新しい終着駅ができる。西九州新幹線の長崎駅だ。今月初め、佐賀県の武雄温泉駅間の約67キロのレールがつながった。在来特急を乗り継ぐリレー方式で、博多まで最速約1時間20分で結ばれる。

 建設中の新駅舎を、7月中旬に見学した。ホームは線路の先に歩行者通路を延ばし、長崎港を眺められる空間を設ける。海をまたぐ女神大橋や造船所のクレーンに、港町の息づかいを感じた。

 県と市が提案した「長崎らしさ」の仕掛けと聞き、うまいと思った。市中心部では国際会議場やサッカー場の建設など「100年に一度」とされる再開発が進む。歴史ある港町の景観といかに調和を図るのか興味深い。

 新幹線終着駅の先輩である鹿児島中央駅も変わり続ける。2004年の部分開業時にホームから桜島が見えたのを思い出すが、今は黒を基調にした駅ビル別館が立つ。秋には西口に10階建て複合施設の建設が始まる。

 街の新陳代謝は活気を生むとはいえ「鹿児島らしさ」が薄らいでいる気もする。指宿枕崎線や日豊線、鹿児島線の沿線には多くの魅力がある。終着駅のその先に足を延ばしたくなる仕掛けがほしい。