( 9/16 付 )

 新型コロナウイルスは「第5波」とされる今も、相変わらずえたいが知れない。子どもや若年層でも重症者や亡くなる人が増えるなど、感染が広がっている。身近にじわじわと迫っているようで気味悪い。

 県と鹿児島市は、8月からの約1カ月半に20人が亡くなったと発表した。そのうち14人は年代や性別、死因が非公表だった。自宅待機中に容体が急変して搬送先で死亡した人もいたが、経緯は明らかにしていない。

 遺族の同意を公表の条件にしているという。大切な人を亡くした家族の思いは、尊重しなければならない。「葬儀などと関連づけて個人が特定される」といった懸念も分かる。ただ、県民が共有すべき情報があるのではないか。

 亡くなったのは高齢者か、若者か。健康だったのか、基礎疾患があったのか。ワクチンを接種していたのかどうか。そうした情報は、同じ年代や持病のある人にとって、とりわけ切実に違いない。

 感染症についてデマが流され、感染者に対する根も葉もない情報がネット上で拡散されている。遺族が公表を拒むのは、年代や性別が身元の特定につながり、そうした誹謗(ひぼう)中傷にさらされるのを心配しているからかもしれない。

 たとえ、対策を十分に講じていても感染する可能性は誰にでもある。そのリスクを減らすための情報が乏しくなるのはなぜなのか。私たち一人一人に問い掛けられている。