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 人を大事にする共生経済を提唱してきた経済評論家の内橋克人さんが、先日亡くなった。偶然つけたラジオから、昨年末のインタビューのアンコール放送が流れた。

 生産性だけを尺度に中小企業をふるいにかけよ-と唱える政策ブレーンに左右される「日本のリーダー」への疑義だった。企業の生産基盤と、人々の生活基盤は地域で重なる。「生きる、働く、暮らす」のどれも劣化しない社会を目指そうと、穏やかな口ぶりで訴えた。

 次のリーダーを決める自民党総裁選がきょう告示され、29日に投開票される。安倍-菅ラインを引き継ぐ新しい顔は誰になるのか。

 近づく衆院選を前に、勝ち馬に乗ろうと右往左往する党の内情が連日報じられる。派閥の議員数で票読みができた過去の公式は使えないようだ。ほとんどの派閥が事実上の自主投票を決めた。

 どうすれば自らの選挙が有利になるか、保身ばかりが目立つ動きを追うのも正直うんざりしてきた。新型コロナ対応をはじめ、安全保障や原発を含むエネルギー政策、始動間もないデジタル庁、こども庁や夫婦別姓の行方など語ってもらいたい論点はさまざまある。

 内閣発足1年を振り返った首相は昨日、記者団の前で「国民の命と暮らしを守ることを最優先に」と、いつもの決まり文句を持ち出した。胸に響く言葉の持ち主であってほしい。次のリーダーに望む資質の一つである。