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 文を書き写す作業を2班に分けて行った実験がある。片方には収益の一部を慈善活動に寄付するとあらかじめ伝えている。作業で手を抜く度合いはどちらが高かっただろう。

 答えは寄付を知っていた班である。作業は社会にとって役に立つとの自覚が、少々の怠慢は許されるだろうとの心理につながるらしい。優越感が生むゆがみである、と社会心理学者ら女性3人の近著「認知バイアス事典」に学んだ。

 汚職に手を染める政治家、上司のパワハラといったことも身勝手な優越感が背景にあろう。家庭の中で一家の大黒柱が横暴に振る舞うことがあるのも、その一種だという。

 住宅メーカーが調べた「男性の家事・育児力」の都道府県ランキングで鹿児島は39位となり、昨年の19位から大きく沈んだ。配偶者と小学生以下の子を持つ20~50代の男女を対象に、男性の家事・育児時間など5テーマで点数を付けた。男性の取得した育児休暇の日数が、鹿児島は46位とほぼ最下位だったのが響いた。

 一方で、幼児2人の世話をする育休中の男性の話が先日の本紙「ひろば」にあった。夫婦で助け合う様子からは、地元にも「育児力」の高い男性がいるのだと意を強くする。

 この夫婦は互いのできること、できないことをうまく補い合っているように見える。大切なのは相手を敬い、思いやる心だろう。思い込みの優越感とは正反対の姿である。