( 9/27 付 )

 新品か、中古か、家電を買うときに迷った経験はないだろうか。中古は安さが魅力だが、すぐ故障するかもしれない。その心配が少ない新品なら“安心料”込みの価格と割り切って奮発する。

 今は新品といえども安心できないようだ。半導体の「偽物」が使われた家電が一部に出回り、動かないだけでなく発火した例もあって見過ごせない。世界的な半導体不足が背景にある。

 電気を通す導体と通さない絶縁体の中間の性質を持つ電子部品は「産業のコメ」と呼ばれ、幅広い製品に欠かせない。デジタル化の進展で争奪戦が激化し、自動運転機能をはじめ「半導体の塊」である自動車は減産に追い込まれている。

 正規のルートを外れて半導体をかき集める家電メーカーもある。そこに本物を装う模倣品や廃家電から抜き取った不良品が交じる。真贋(しんがん)を判定するサービスを始めた国内企業にメーカーの依頼が殺到したというから事態は深刻である。

 日本の半導体はかつて世界シェアの過半を誇っていたが、台湾や韓国の台頭で1割ほどに低下した。必需品を海外頼みにする危うさは、暮らしに影響が出た昨年のマスク不足を思い出させる。

 真贋判定では3割超が偽物で、血圧計やドライブレコーダーなどに使われていた。メーカーは新品の信頼性を守ってほしい。身の回りの製品に紛れ込んでいる恐れがあれば、安心料を払う気になれない。