( 9/29 付 )

 アメリカの小学校で、先生がいきなり幾つかの言葉を挙げ、子どもたちに賛否を尋ねた。好き嫌いで判断したのだろう。全員が「アイスクリーム」に賛成し、「宿題」には反対だった。

 先生はそれぞれの言葉には続きがあると告げる。アイスは「ニンニク入り」、宿題は「週末はなくす」。情報をよく確認せず判断すればだまされると教える授業だ。政治心理学者の川上和久さんが主権者教育の一例として自著で紹介している。

 日本でも5年前の「18歳選挙権」の導入を契機に、学校現場で実践的な主権者教育が本格化した。模擬投票などを行う選挙管理委員会の出前授業を活用し、政治や社会の課題を自分の事として捉え行動できる人材の育成を目指している。

 ただ、コロナ禍が水を差す。総務省によると、出前授業を実施した選管は昨年度、前の年から2割強減った。「密」の回避が求められる中、生徒を集めにくかったようだ。

 先日の本紙ひろば欄に、自民党総裁選に興味を持つ高校生の様子をつづった高校教員の投稿が載った。「国のリーダーを決める選挙に直接参加できないことへの違和感は大きいようだ」。根付きつつある主権者意識が垣間見えた気がした。

 きょう結果が出る総裁選で選出されるのは、事実上の次の首相である。保身や派閥の思惑に左右されることなく政策でこそ選ぶべきだ。多くの主権者が見つめている。