( 10/3 付 )

 太平洋に浮かぶ島国パラオは、1920年から終戦まで日本の委任統治下にあった。その名残がある現地の言葉を紹介した在日本大使館のツイッターが人気だという。

 「子だくさんの家族」を表す「ブタイ(部隊)」のように戦時下の影響を感じる単語もあるが、ほほ笑ましいものが多い。「オウム」は「ヤッコチャン」。日本人が飼っていたペットの名前が一般化したという説があるらしい。

 「ビールを飲むこと」を指す「ツカレナオス(疲れなおす)」も味わいがある。鹿児島弁でも晩酌を「だれ(疲れ)やめ」という。もしかしたら、かの地に行った出身者がちょっと気取って共通語に変えて伝えたのでは。そんな想像も楽しい。

 酒にまつわる二つの言葉には、一日の疲れを癒やしてくれる一杯への愛着が感じられる。仕事を終えて労をねぎらいながら、差しつ差されつしてあしたの活力を養う。全国各地で培ってきた文化である。

 それなのにコロナ禍が飲食店から酒を奪ってきた。なじみの店でたまには語りたいと思っても、かなわない。“繁華街”とは程遠い閑散とした風景に心を痛めた人は多かったに違いない。

 まん延防止等重点措置などが解除され、県内の飲食店はかつての姿に戻った。客の心が和み、店主たちの懐が少しでも潤ってほしい。第6波で街の灯が再び消えないよう、感染症対策を忘れず、お酒はほどほどに。