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 プロ野球巨人の元監督、故川上哲治さんが小学生のころの話だ。たこ糸がもつれ、ナイフで切ろうとしたとき、父親に止められた。「糸は一度切ったら二度と1本にはならない。根気よくやれば、もつれは直る」。

 父親はそう言って一緒に1時間かけてほどいてくれた。最後までやり遂げる大切さ。その教えは「打撃の神様」と呼ばれ、監督として巨人を日本シリーズ9連覇に導いた原動力になったのだという。

 米大リーグの大谷翔平選手が今シーズン、投打の「二刀流」で見事に花を咲かせた。渡米からの3年間は右肘の故障などに泣き、特に昨季は2試合に投げただけで挫折を味わった。それでも二刀流を貫徹できたのは諦めず高みを目指したからだろう。

 開幕からホームラン王を争い、最終戦で46本に伸ばし打点は100の大台に乗せた。投手としても9勝を挙げた。1918年のベーブ・ルース以来の「2桁勝利、2桁本塁打」の偉業達成は来季の楽しみに取っておこう。

 試合中の大谷選手がごみを拾う場面がテレビで映し出され、米国でも話題になった。ごみ拾いは運を引き寄せる行動の一つとして高校時代に立てた目標らしいが、折れたバットを打者に手渡す様子とともに、自然な振る舞いに見える。

 そんな姿もファンを引きつけるのだろう。「まだまだ上にいけると思っている」。二刀流のさらなる進化から目が離せない。