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 「映画の予告編だけを見せて、さあどうだと判断を迫るのと同じ」。岸田文雄首相の初の所信表明を受けたテレビ討論で、野党の政策責任者がうまい例えをした。

 首相の座に就いてわずか10日後に衆院を解散し、解散から17日後には投開票を迎える。どちらも、戦後最も短い。19日の公示日は目前だ。ばたばたと事実上の選挙戦が始まった。

 「可及的速やかに総選挙を行い、この岸田にお任せいただけるかどうか判断を頂きたい」。新内閣発足の日にスケジュールが公表された。「ぼろが出る前に臨むのが一番」と話す自民党のベテラン議員もいたらしい。

 過去の解散にはバカヤローとか、寝たふりとか状況に応じたさまざまなネーミングがあった。今回は何だろう。思いつくまま挙げれば「今のうちに解散」「秒速解散」「ぼろ隠し解散」「ちら見せ解散」…。

 「国難突破解散」と当時の首相自ら命名した4年前の選挙の時とは、社会のありようも大きく変わった。世界規模の感染症まん延で貧富の差は広がり、馬毛島の基地問題など安全保障や、地球環境に対する問題意識が深まった。選択的夫婦別姓や性的少数者(LGBT)など、多様性を求める声も高まる。

 まずは私たちが、これからどんな社会に生きたいか、どんな意思を政治に反映させたいのか、を考えたい。政治は、そんな国民の願いを「本編」で実現させるためにある。