( 10/23 付 )

 タカ科のサシバが群れをなし、大きく旋回しながら渦を巻くように高度を上げていく姿を「鷹柱(たかばしら)」という。何とも好奇心をそそられる秋の季語である。

 サシバは日本本土の里山で春夏を過ごし、秋に集団で南下する。上昇気流を捉えて空高く舞い上がり、目標の方角を見定めると一直線に滑空していく。これを繰り返しつつ、遠くは東南アジアまで数千キロを旅するという。

 先週末、観察ポイントとして知られる都城市の金御岳(かねみだけ)を訪ねた。早朝から約3時間ひたすら目を凝らしたが、鷹柱は見られなかった。条件が整ったときだけ出合える期間限定の野生生物の行動は、そう簡単に見せてはもらえない。

 地元の中原聡さんらは43年前から飛来羽数を記録し続けている。今年は9月以降1万7619羽を確認した。50羽ほどの鷹柱が複数回出現した日もあったそうだ。旅のドラマの一場面に魅せられ、連日足を運んでいる。

 鹿屋市の大隅広域公園も渡りの中継点になっている。昔は集まったサシバで空が薄暗くなったという話も聞くが、飛来数は減少傾向にある。里山の環境変化は、鳥の暮らしにも影を落とす。

 大隅半島を縦断したサシバは本土最南端の佐多岬に集結する。次の目標は南西諸島の島々だ。真っ青な空と大海原を視界いっぱいに捉え、洋上の長旅へ覚悟を決めるのだろうか。毎年繰り返される営みに自然の摂理の壮大さを思う。