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 近ごろ見聞きするシスターフッドという言葉がある。女性同士の連帯を指す。セクハラ被害を訴える「#MeToo(私も)運動」などが一例だ。

 女性が自分らしく生きることを肯定し、互いに力づける。何十年も前からシスターフッド的なメッセージを発してきたのが、瀬戸内寂聴さんではなかったか。田村俊子、岡本かの子、金子文子…。慣習や制度に抗して自分を貫き通した女たちの評伝を次々著した。

 「美は乱調にあり」は大正期に婦人解放、無政府主義を唱えた伊藤野枝が主人公だ。「決然と過去を絶ちきり、恋人大杉栄の胸に飛び込んでいった火のような野性の情熱と、その強烈な生き方に強く捕らえられてしまった」。作品を書いた理由を、冒頭でこう説明している。

 寂聴さんのたどった道とも重なって見える。1922年、徳島市に生まれる。20歳で見合い結婚し、その後、夫の教え子と駆け落ち、娘を置いて家を出た。官能的な小説を発表し物議を醸すが、旺盛な創作意欲で人気作家になっていく。51歳で出家し世間を驚かせた。

 「源氏物語」訳を手掛けたのは70歳から。京都の自坊「寂庵」で催す法話も人気で、人柄に引かれた多くの人が足を運んだ。新型コロナウイルス禍で休止が続き、人に会えないことを残念がっていたという。

 享年99歳。作品はこれからも悩み惑う“シスター”たちに伴走し、励ますはずだ。