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 壁の木目が人の顔に見えてドキリとすることがある。点や線が逆三角形に並んでいると、脳が目や口と認識して警戒する。類像現象と呼ばれ、「心霊写真」も多くはこれで説明できるそうだ。

 重なり合う三つの丸ならどうだろう。丸い顔に大きな耳。ミッキーマウスが頭に浮かんだ人も多いのではないか。米国文化を代表するディズニーのキャラクターである。

 93年前のきょう、短編アニメ映画「蒸気船ウィリー」で主演デビューした。わずか7分だが、軽快な音楽に乗せたドタバタ喜劇が大ヒットした。恋人のミニーマウスとともに一躍スターとなり、世界中で親しまれるようになる。

 生みの親のウォルト・ディズニーは若くして設立したアニメ制作会社が倒産したり、再起を期して考案したキャラクターの版権を失ったりと、挫折続きの前半生を送っている。失意の中で誕生したのがミッキーだった。

 もっとも、当初は雰囲気がだいぶ違った。歯をむき出しにしてライバルに殴りかかるなど、少々荒っぽかった。それが次第に表情が豊かになり、愛すべきヒーローとして描かれるようになる。長く人気を保っている理由だろう。

 ディズニーのテーマパークでは、壁や地面にさりげなく描かれた三つの丸を「隠れミッキー」として探すのがファンの格別な楽しみなのだという。単純な図形だが、人の心を癒やす力があるのかもしれない。