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 霧島神宮本殿の柱は、その地にあった溶岩を礎石の一部に使っている。ニニギノミコトが高千穂峰に天下り、「ここはいとよき地」と石の上に宮柱を太く立て、素晴らしい宮殿を造った-という古事記神話を連想させる。

 参道は老杉(ろうさん)がうっそうと茂る。その先の一番奥に本殿が座り、急勾配の階段で拝殿とつながる。元々の傾斜地に巧みに配置され、屋根が段々に重なる独特の外観をつくっている。

 本殿、拝殿と、二つに挟まれた幣殿。これら1棟が、近く国宝に指定されるというビッグニュースが飛び込んできた。鹿児島県内の文化財の国宝指定は約60年ぶり。照国神社所有の太刀「国宗」以来2件目で建造物では初めてとなる。

 300年余り前の職人たちによって計算され尽くした建物の質に加え、内部の豪華な装飾に対する評価が高い。特に東アジアの影響が色濃い2本の龍柱(りゅうばしら)彫刻には目を奪われる。柱に巻き付き昇る阿吽(あうん)形の龍の周りを雲がうねる。中国古典にある「雲は龍に従う」の例え通りだ。

 6世紀に創始された神宮は代々、島津家と結びつきが強い。噴火や火災で幾度も焼失した後、1715年に完成した現在の社殿は、薩摩藩主・島津吉貴が寄進した。10年もの年月が費やされた大工事だったという。

 この時季、境内各所を紅葉が彩る。「いとよき地」の来し方を思い散策すると降り注ぐ光も何となく神さびて見える。