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 ノーベル賞しかり。米映画界のアカデミー賞しかり。最高の栄誉を誰が手にするか注目を集める。特に意中の候補がいる人は、発表の日まで落ち着かない日々が続く。

 その点で、米大リーグのア・リーグ最優秀選手(MVP)選出は異例と言えるだろう。エンゼルスの大谷翔平選手で決まりと事前に予想され、関心は何票獲得するかに移っていた。ふたを開ければ満票だった。

 メジャーに挑んで4年目。右肘の故障や不振を乗り越え、鮮やかに復活を果たした。投げては9勝を挙げ、打者としてもリーグ3位の46本塁打を放った。打点は100に達し、持ち味の俊足を生かし26盗塁も決めた。

 走攻守にわたる快進撃は、投票権を持つ全米野球記者協会の会員30人の心もつかんだようだ。「これまでで最も悩まなかった」。投票した会員の言葉が、飛び抜けた存在だったことを物語っている。

 先日、帰国後に初めて臨んだ会見での姿が印象に残る。結婚や金銭感覚など野球以外のことを聞かれても、笑顔で質問者に向き合い、丁寧に答えていた。その真摯(しんし)な姿勢も多くのファンを引き付けているのかもしれない。

 目標に掲げる「世界一の選手」について「自分でそう思う日は恐らくこない」と謙虚に語り、さらなるレベルアップに意欲を示す。非常識との批判をはねのけ、道を切り開いてきた二刀流はどこまで進化するのか。目が離せない。