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 街中に並んだ自動販売機にカメラを向ける外国人を何度か見掛けたことがある。海外から治安の良さの象徴のように言われる屋外の自販機は、住んでいると気付きにくい日本らしさだろう。

 総台数は微減傾向だが、中身は多様化している。性能が向上し、冷凍のギョーザやラーメンも登場。商機を逃すまいと新型コロナの検査キットまで並ぶ。感染防止に気を使う今に適した非対面販売である。

 そんな折、ICカードを使うたばこ自販機の成人識別システム「taspo(タスポ)」が2026年3月で役目を終えると発表された。使用する通信サービスの終了が理由という。08年の導入以降、たばこ自販機は急激に減っている。流れに拍車が掛かりそうだ。

 カードを申請したり、取り出したりする手間が敬遠され、客がコンビニに流れた。設置店の売り上げは想定以上に減ったのではないか。コンビニがひしめく都市部ではもはや自販機を見つけるのが難しい。

 未成年者の喫煙防止には一定の効果を上げた。04年から種子島であった導入テストで補導件数が減り、全国展開につながった経緯がある。いわば種子島育ちの自販機だった。

 健康志向や相次ぐ値上げによって喫煙者自体が減っている。そんな背景もあるのだろう。思えば、自販機の機能や商品は社会のニーズに合わせて変わっていく。時代を映す鏡のような存在かもしれない。