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 「茶わん虫の歌」に「めごなどけあるく虫じゃろかい」という歌詞がある。「めご」とは食器や洗濯物を入れる竹製のかごのことで「目籠」と書く。

 歌は大正時代、現在の宮内小学校(霧島市)に勤務していた石黒ヒデさんが学芸会の劇中歌として作った。井戸水をくんだり近くの川に出掛けたりして、洗濯や食器洗いをした時代である。身近な日用品だったことが歌詞から分かる。

 薩摩川内市の川内歴史資料館で開かれている「道具から見る昔の暮らし」展には、ほとんど見掛けなくなった目籠も並ぶ。明治から昭和中期まで実際に使っていた173点を集めた。

 添えられている当時の写真や風景画が使い方を教えてくれる。「人力洗濯機」は金属の棒にラッパの先っぽを付けたような形だ。バケツに洗濯物と粉石けんを入れ、上下にかき回したという。

 近くには「手回し洗濯機」もあった。こちらはコンクリートミキサーに似ており、洗い物と水、洗剤を入れ、ハンドルを回して洗った。いずれも「洗濯板を使うより楽に」と工夫を凝らした跡がうかがえる。とはいえ、手作業に変わりなく、かなり難儀だったろう。

 家電製品のあふれる現在が、便利になったのは確かだ。半面、「人力」頼みだった時代は地球温暖化が社会問題になることはなかった。便利な生活と環境への配慮をいかに共存させるか。今後の工夫のしどころだろう。