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 急坂のスイッチバック方式で知られる箱根の登山鉄道は最近、平日でも座れないほど乗客が多い。2年前の台風で線路が寸断されたところに、コロナ禍が加わった。首都圏の代表的な観光地はようやく息を吹き返しつつある。

 駐車場は近隣地区のナンバーが大半を占める。感染が下火になったとはいえ、「まずは近場から」と恐る恐る旅行を再開しているのだろう。「第6波が来る前に」という駆け込み組もいるかもしれない。

 こうしたリゾート地など旅先で働く「ワーケーション」が注目されている。ワーク(仕事)とバケーション(休暇)を組み合わせた造語である。在宅勤務が推奨されるご時世に、箱根にも専用の施設ができている。

 木々に囲まれた2階屋の各階に開放的なオフィスが広がる。家電や文具が備え付けられ、バーベキューも楽しめる広々としたウッドデッキが休暇の雰囲気を演出する。パソコンさえ持ち込めば快適にリモートワークができそうだ。

 温泉宿に滞在するグループが「プロジェクト会議」などに使うことを想定しているという。料金は決して安くないが、くつろぎながら仕事がはかどれば、割に合うということだろうか。

 ワーケーションが全国に広がれば温泉の多い鹿児島の観光地にとって新たな活路にもなろう。利用しやすい休暇制度や旅のプランが増えるといい。ブームで終わらせてはもったいない。