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 雲のようにふわふわで、綿のようにやわらかい。なかやみわさんの絵本「そらまめくんのベッド」は、ソラマメのさやを命を育む極上のベッドに見立てる。エダマメなどほかの豆たちもうらやむ自慢の宝物だ。

 居心地の良さそうな空間に、指宿市の「本と人とをつなぐ『そらまめの会』」が運営する図書館が重なった。先進的な活動に取り組む館に贈られる2021年のライブラリー・オブ・ザ・イヤーの大賞に、NPO法人として初めて選ばれた。

 07年から市の指定管理者として指宿、山川の2館を預かる。夜の館での肝試しや敷地に畑をつくるなど、図書館の枠を超えて本の世界と体験をつなげてきた。「市民とともに明るく歩み学び続ける図書館」との評価にうなずく。

 「館に来られない人にも本を届けたい」と、本を積んで出向く移動ブックカフェ車もクラウドファンディングで実現させた。10年以上にわたり、自由な発想と行動力で「知の拠点」を育ててきた。

 とはいえ、収益を生まない図書館事業を民間が長期間担うのは容易ではない。休止せざるを得ない催しも出てきたが、職員13人は「図書館は地域の宝だ」という市民の声に励まされ、工夫と研さんを重ねる。

 指宿市では日本一の生産量を誇るソラマメの季節を迎える。大空を指して伸びる緑のさやのような“そらまめたち”の奮闘が文化の薫り高い地域を育んでいく。