( 6/19 付 )

 今から23年前、未明の激震が多くの人命を奪った阪神大震災の現場を取材した。横倒しになった電車や寸断された高速道路を目の当たりにし、発生が通勤時間帯と重なっていたら、とぞっとしたのを覚えている。

 「大阪で震度6弱」というニュース速報に、その時の不安がよぎった。休み明けの朝8時前といえば、通勤・通学客で最も混み合う時間帯だ。駅は心配そうにスマートフォンをチェックする人であふれ、オフィスビルのエレベーターは急停止した。

 停電や断水が相次ぎ、都会の交通網はまひした。大阪府高槻市では、学校のプールのブロック塀が倒れ、登校途中だったとみられる9歳女児が下敷きになって亡くなった。ブロック塀の犠牲になる事故は地震のたびに繰り返されており、特に通学路では点検が急がれる。

 阪神大震災や熊本地震と同じ、浅い地下で起きる「直下型地震」だった。熊本地震では本震とみられていた地震の2日後により大きな地震が起き、被害が広がった。しばらく油断は禁物だ。

 このところ地震が多い。ちょうど1週間前には鹿児島市や鹿屋市で震度3を記録した。明け方の揺れに身構えた人もいただろう。おとといは群馬県で震度5弱の地震があったばかりだ。

 地震はどこででも突然、牙をむき襲いかかってくる。巨大地震の記憶をいま一度呼び起こし、身の回りを点検したい。命は一つしかない。