( 6/27 付 )

 ブラジルの空を飛んでいる虫に日本から矢を当てるようなもの-。元内之浦宇宙空間観測所長の的川泰宣さんが、小惑星「りゅうぐう」までたどり着く難しさをそんな面白い表現で例えていたのを思い出す。

 2014年12月、種子島宇宙センターから旅立って3年半。探査機「はやぶさ2」がきょう、地球から3億キロ離れたりゅうぐうの高度20キロの目的地にいよいよ到達するという。

 これまでの旅は順調らしい。打ち上げから1年後、地球の重力を利用して小惑星に迫る軌道に変えるスイングバイに成功。イオンエンジンを噴射させるなどして近づいてきた。ただ初代はやぶさも接近後にトラブルが続いたから油断は禁物だ。

 今後は地表を調べて着陸の適地を探る。秋から春にかけて3回着陸し、地表や地下から岩石を採取するのがヤマ場だ。太陽系の成り立ちや生命の起源に迫る手がかりが得られる成果に期待したい。

 初代が試料回収に成功した小惑星「イトカワ」の地形には、初代が飛び立った内之浦宇宙空間観測所にちなんで「ウチノウラ」などの地名がつけられた。りゅうぐうにも鹿児島の地名がつくといい。

 はやぶさ2の旅がうまくいけば20年末に地球に岩石を持ち帰る。東京五輪・パラリンピックと鹿児島国体・障害者大会の余韻さめやらぬ時期だ。困難があっても初代のように乗り越えられる。そう信じて楽しみに待とう。