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 伊佐市出身の直木賞作家、海音寺潮五郎さんは地元の大口高校校歌を作詞している。4番まで作ったのは、いつか野球部が甲子園に出場したときに映えるようにとの思いがあったそうだ。

 作曲は、全国高校野球選手権の大会歌「栄冠は君に輝く」も手がけた古関裕而さんである。校歌の4番は、「高きには白雲動き」と始まり、大会歌は「雲はわき光あふれて」と歌い出す。夏の球場には空高くそびえる雲が似合う。

 文豪もひたむきに白球を追う球児に魅せられたのだろうか。夏の全国大会が100回の節目を迎え、鹿児島大会も開幕した。箕島対星稜の延長18回、やまびこ打線、KKコンビ、奇跡のバックホーム、ハンカチ王子、がばい旋風…。数多くの伝説が生まれた。

 郷土勢も球史に名を刻んだ。NHKの全試合完全中継につながった1974年の鹿児島実対東海大相模、初の九州勢同士の決勝となった94年の樟南対佐賀商の名勝負は、その代表格と言えるだろう。

 「私は戦争があって高校野球ができなかった。平和の中でプレーできる子どもたちがうらやましい」。元樟南部長で県高野連顧問の野村次丸さんの言葉は重い。大会は戦時期に5年中断し、そのあおりを受けたという。

 高校野球への憧れは、91歳となった今も変わらない。自称「野球小僧」は毎年、鴨池の球場に足を運んでいるそうだ。今年も「もちろん」と笑った。