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 雨は少しも疲れを見せずに力いっぱい降り続いた-。漫画「ちびまる子ちゃん」の作者さくらももこさんはエッセー集「あのころ」で、小学3年のときに体験した「七夕豪雨」の思い出を振り返っている。

 1974(昭和49)年の7月7日から翌日にかけて記録的豪雨となった静岡県で、44人が犠牲となった大水害である。川がゴーゴーと荒れ狂いながら橋をのみ込む光景を目の当たりにしたとつづる。

 今年の七夕も、さくらさんが目にしたのと同じような光景が西日本各地に広がった。町は茶色の濁流に沈み、多くの人が着の身着のままでヘリコプターに救助された。九州から東海に深い爪痕を残し、死者は100人を超えた。

 車ごと流されたという少年は「息をするのに必死だった」と顔をこわばらせていた。「目の前を人が流されていった」という通報も相次いだ。牙をむいて襲いかかる水の恐怖はいかばかりだっただろう。

 数十年に1度クラスの災害に警戒を呼び掛ける「大雨特別警報」が最多の11府県に出されたが、増水した川に近づいて被害に遭った人もいた。特別警報をどう避難に結びつけるかは大きな課題だ。

 今回の豪雨では、鹿児島市でも夫婦が犠牲になった。週明けは恨めしいほどの青空が広がったが、梅雨はまだ明けず、南海上には台風も控える。危険を感じたら迷わず逃げることだ。命を守る行動を心掛けたい。