( 7/12 付 )

 潜って歩いて約4キロ先の出口にたどり着くまでに3時間40分かかったという。泥水が視界を遮り、むき出しの岩肌が行く手を阻む。まさに手探りの道のりだったに違いない。

 タイの洞窟に閉じ込められていた地元サッカーチームの少年12人と男性コーチが助け出された。最初の少年が脱出に成功して3日目、遭難から18日目である。よくぞ耐えたと胸をなで下ろした人は多かろう。

 最大の障害だった洞窟内の水を24時間ぶっ通しでくみ出し、水位が下がったとみるや決行した。タイや外国からえりすぐりの潜水士が少年1人に2人ずつ張り付いて誘導したそうだ。少年らの体調の悪化やさらなる増水が心配される中、救出作業は時間との闘いだった。

 奇跡的な生還の代償は小さくない。この間、ボンベの運搬作業に当たっていた現地の潜水士1人が命を落とした。洞窟からはき出された大量の水が周辺の田畑に押し寄せ、農作物が被害を受けているとの報道もある。

 洞窟は日ごろから少年らの「探検ごっこ」の遊び場で、いざというときに避難できそうな場所を知っていたのは幸運だった。雨期に洞窟に入る軽はずみな行為を叱られても仕方ないが、ひとまず全員の無事を喜びたい。

 九州南部の梅雨が明けた。夏休みはもう目の前だ。世界が固唾(かたず)をのんで見守った救出劇。自然を相手にした冒険には大きな危険が潜むことを教えてくれた。