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 インターネットで激安店のチラシを見ると驚く。缶コーヒーや即席麺に「1円」の文字が躍る。客寄せの特価だろうが、商いが成り立つのか。こちらが心配してしまう。

 安売り合戦を見聞きするたび、浮かぶ顔がある。取材で世話になったかつお節職人は、削り節のパックがスーパーでつかみ取りされていることを嘆いた。「適正な価格で売ってほしい」。悲痛な叫びに日本の食文化を支えてきた矜持(きょうじ)がにじんだ。

 丹精込めた仕事がぞんざいに扱われるのは誰しも我慢がならない。対価が払われなければなおさらである。出版界では漫画やアニメの違法コピーを無料で見せる「海賊版サイト」の存在に怒りが沸点に達している。

 政府もサイトの接続遮断に乗り出した。緊急対策とはいえ、憲法で定める「通信の秘密」に触れる恐れがあり、検閲にもつながりかねない。政府の対応に法律家から反発の声が上がる。野放しにするわけにもいかないから悩ましい。

 無料のアプリがあふれ、手のひらの上で情報やサービスを簡単に得られる時代だ。ただ、便利さの陰で泣いている人がいることを忘れていないか。とりわけ小さい頃からネットに親しむ若者の意識が気にかかる。

 きょうは世界知的所有権の日。特許権、意匠権、商標権などと並び、著作権も一つに挙げられる。モノの価値や権利について考え、作り手に思いをはせる機会にしたい。