[カジノ法成立] 世論を軽視した強行だ
( 7/22 付 )

 カジノが本当に成長戦略の柱となり得るのか、ギャンブル依存症対策は十分なのか。
 国民が抱く多くの不安や疑問を解消しないまま、カジノを含む統合型リゾート施設(IR)整備法が成立した。世論を軽視した強行と言わざるを得ない。
 IR整備法は、カジノを賭博法の適用対象から外し、解禁するものだ。IRは全国3カ所を上限に整備する。
 国民の大きな懸念の一つは、推計約320万人とされるギャンブル依存症が拡大するのではないかということだ。
 政府は日本人の入場を「週3回、月10回」に制限する規定などを設け「世界最高水準のカジノ規制」とアピールする。
 だが、採決間近の審議で、1回の入場で24時間滞在できる「抜け道」が判明した。日付をまたげば週6回通うことが可能だ。
 これでは依存症対策として、とても効果的とは言えまい。
 カジノ業者から入場者への金銭の貸し付けを認める規定にも問題が多い。
 野党側は「依存症を助長する恐れがある」と批判した。だが、法案担当の石井啓一国土交通相は「対象は富裕層に限定し、顧客ごとに限度額も定める」と主張し、修正することはなかった。
 しかし、この「富裕層」の定義を含めた貸し付け業務の詳細や、依存症の危険度を左右するカジノゲームの種類など331項目に及ぶルールは、国会審議を必要としない政省令などで決める。
 中身が不透明なまま成立を急いだのは、事業者の利益を優先するためと疑われても仕方あるまい。政省令の策定は、国民に見える形で慎重に進めるべきだ。
 法成立を受け、IR誘致を表明する自治体の活動が今後、本格化しよう。
 自治体は公募で選んだカジノ事業者と共同で計画を策定する。申請を受けた国が審査し、整備区域を認める流れだ。
 安倍晋三首相は国会で「雇用や地域振興に効果が見込める。観光立国の原動力にもなる」と繰り返し強調した。
 一方で、整備地域が未定との理由で、政府は経済効果の詳細な試算を最後まで示さなかった。
 治安悪化などの弊害も懸念されており、住民の理解を得て合意形成が図れるかも課題だ。
 自分たちが住む地域の魅力を海外からの観光客に知ってもらう手段としてカジノが最適なのか。誘致を考える自治体は、計画を丁寧に説明するとともに、住民の意見に耳を傾けてもらいたい。