[所信表明演説] 丁寧な説明が欠かせぬ
( 11/18 付 )

 衆院選を受けた特別国会で、安倍晋三首相がきのう所信表明演説を行った。
 憲法改正については建設的な論議を与野党に呼び掛けた。緊迫化する北朝鮮情勢への対応や少子高齢化の克服などに取り組むと意欲を示した。
 だが、強い決意を表明しても、具体論がなければ説得力に乏しいと言わざるを得ない。
 国会会期は残り約3週間しかない。建設的な論議につなげるには首相がまず質疑を通して丁寧に答えるかどうかが問われる。
 質問時間の配分を巡り、議席数に応じて与党への配分を増やすよう指示するなど、国会論議への首相の姿勢は極めて問題だ。
 首相の友人が理事長を務める「加計学園問題」などで野党の追及をかわそうというのであれば、国民の疑念は晴れまい。
 これまでのように、野党に配慮した質問時間に見直すべきだ。野党にも課題解決に向けた前向きな議論を求めたい。
 気になるのは、首相が宿願とする憲法改正についての言及が少なかったことだ。
 首相は5月、憲法9条への自衛隊明記などを例示し、2020年の改正憲法施行を目標に掲げた。であれば、自らの考えを国会で語る機会を設けるべきだ。
 その際、改憲が既定路線のように振る舞うことは容認できない。そもそも今なぜ、改憲が必要なのか。各種世論調査からみても、国民は改憲の必要性を優先順位の上位に置いていない。与党の公明党も改憲に慎重だ。
 憲法改正には与野党の合意が欠かせない。首相が「互いに知恵を出し合いながら」と与野党に呼び掛けるのなら、説得力ある説明が必要だ。
 「国難」と位置づける北朝鮮情勢と少子化問題でも、踏み込みが足りなかった。
 核・弾道ミサイル開発を強行する北朝鮮については、「国際社会と共に圧力を一層強化する」と述べたが、国民が知りたいのは平和的な解決に向けた「その先」の戦略であろう。
 19年10月に予定する消費税の増税分を子育て世代や子どもに投資することを衆院選の公約に掲げた。その実現を望む国民は少なくなかろうが、問題は財政再建を含めた具体的な制度設計だ。
 首相は折に触れて「謙虚に、丁寧に」と繰り返してきた。しかし、演説では加計学園問題などの疑惑には言及しなかった。
 人口減少社会の中、国民は将来への不安を抱えている。社会保障制度の見直しなど急ぐべきだ。